「ずっと夢見てた」西山貴浩 若松周年初制覇! 念願果たす! 豪華メンバーが連日熱戦を繰り広げた若松ボートの「読売新聞社杯GI全日本覇者決定戦開設72周年記念競走」は2日に優勝戦が行われ、人気を背負った1号艇の西山貴浩(37歳=福岡)がイン逃げを決めて、悲願の地元若松周年初優勝を飾った。今年は4回目、当地は10回目の優勝。 進入は123/456。 インからトップスタートの西山が1マークを先マイ。4コースから差してきた森高一真が急接近し、ゴール前まで猛追にあったが、先頭は守りきった。「トップスタートは僕だろうと思った。1マークはターンしながらヤバいと思った。(森高に優勝を)もう少しで持っていかれるところだった。危なかった。」 レース直後、引き揚げてくると喜びよりも安堵の表情を浮かべた西山。ヒヤリとする戦いだったが意地を見せた。ピットで待ち構えていた篠崎兄弟ら福岡支部メンバーに迎えられると、ガッツポーズと笑みがこぼれた。 北九州市出身。2005年に若松でプロ初出走、2008年に初優勝。喜びも悔しさも様々な思い出を刻んできた水面。若松周年は毎回Vを期待されながらも、他地区の選手が何人も優勝トロフィーを持っていった。目の前でライバルが勝ち、カメラのフラッシュを浴び、表彰式で祝福された。それを横目で見ながら、モーターを片付ける西山の背中があった。欲しかった欲しかったタイトルだった。今夜、ついに笑った。「ずっと夢見てたタイトルでした。若松で勝ちたいという気持ちは誰よりも強いと思っています。若松は最高! (優勝戦は超満員のスタンドから)応援してもらって幸せ者です。何年か前に、中田達也とどっちが先にこのタイトルを取るか、と話したこともあった。そんなことも思い出しながら、先頭を走りました。」 中田達也さん(22年に他界)も北九州市出身。当地フレッシュルーキーを務め、地元若松への思いをよく口にされる方だった。とても好漢だった。「これからも達也の魂と共に頑張ります。これ(若松周年)を取れたら、もう優勝できなくてもいいなんて言ってきたけど、来年は若松でSGが2つありますし(クラシックとメモリアル)、頑張ります。これが終わりじゃないんで。まだ続きがあります。」 西山の物語は決して終わらない。これから新たな章へ。次走からもGI ・SGの激しいレースが続くが、若松周年覇者という大きな勲章と、達也の想いを胸に、ニシヤマは走る。そして大勢のファンは、この男のSG優勝インタビューを待っている。